〒501-0236 岐阜県瑞穂市本田1018-1
眼球の中には、硝子体(しょうしたい)と呼ばれるドロドロとしたゼリー状の透明な物質が入っています。硝子体は正常な状態では、眼球の中での光の通り道となっていますが、この硝子体に濁りが起こると、光が妨げられ、眼底に影が投影されるようになります。
このような影は、患者様にとっては、視野の中の曇りや、影として自覚されます。このような濁りが空中に蚊が飛んでいるように見えることから飛蚊症と呼ばれています。
飛蚊症は、眼球内に濁りが発生する状態で起こりますが、生理的な原因によるものと病的な原因によるものがあります。
この中で多いのは、病気ではない生理的な硝子体の濁りで起こる「生理的飛蚊症」と呼ばれるものです。
近眼や、老化現象のために、眼球の内壁と硝子体との間に隙間ができ(後部硝子体剥離)、眼球内に濁りが発生します。
この濁りが、光の通りを妨げ、眼底に影が映り、飛蚊症を自覚するようになります。
他の病気と異なり、視力や視野に影響を及ぼすことはありません。
生理的飛蚊症と診断されれば、視力障害の心配はありません。
このような濁りは眼内から消えたり、視野の中から見えなくなることはほとんどありません。
硝子体出血など硝子体が濁る病気では、突然飛蚊症が発生したり、視力の低下が起こることがあります。 主な病的飛蚊症を以下で説明します。
糖尿病や高血圧や外傷などで眼底に出血が起こり、出血が硝子体中に広がった状態です。
出血の量や場所によっては視力が急激に落ちる場合もあります。
出血の原因に合わせた治療が必要になります。
網膜に亀裂が発生したり、網膜がはがれる病気です。このような病気の初期には、飛蚊症がでることがあります。
網膜剥離が進行すると失明に至ることもあるので早めの治療が必要です。
治療にはレーザーで網膜裂孔の周囲を凝固する方法や入院で網膜剥離を手術する方法などがあります。
ぶどう膜という部位に炎症が起こると血管から白血球や滲出物が硝子体に入り込み、飛蚊症の症状が出ることもあります。
炎症が強くなると濁りが増加して視力が落ちることもあります。 消炎のための内服薬や点眼薬などで治療します。
生理的飛蚊症に関しては目が疲れてくると、飛蚊症は強く感じられ、調子の良いときには気にならなくなりますので、疲れ目の治療を行ったり、物がよく見えるように、眼鏡を合わせ直したりすると症状が軽くなることがあります。
病的飛蚊症に関しては、それぞれの病気に対しての治療が必要になります。
飛蚊症を自覚したり、以前からあった症状に変化が起こったときには、なるべく早めに眼科で診療を受けることをおすすめします。
眼底の精密検査では、散瞳薬(さんどうやく)と呼ばれる薬を点眼し、眼底の隅々まで検査します。
この検査をするとしばらく見づらくなったり、眩しく感じたりします(4~5時間くらい)ので、当日の車の運転は危険になりますので、車を運転しての受診は避けるようにしましょう。